類型
開催期間 2016年9月17日
開催場所 アクトシティ浜松コングレスセンター3階
会長 難波 宏樹
運営事務局 浜松医科大学
運営事務局TEL 053-435-2283
運営事務局FAX 053-435-2282
運営事務局e-mail nougeka@hama-med.ac.jp
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第105回東三河脳神経外科懇話会
日時 平成28年9月15日(木)
   午後7時~
   終了後に世話人会があります
場所 成田記念病院 大会議場 
演題 
1.定位放射線治療後5年以上経過しても脳転移は再発するのか
          総合青山病院 サイバーナイフセンター 水松 真一郎 先生
2.慢性硬膜下血腫の手術における工夫
          蒲郡市民病院 脳神経外科 杉野 文彦 先生
3.もやもや病関連脳室内出血に対する内視鏡下血腫除去術
          豊川市民病院 脳神経外科 渡邉 隆之 先生
4.Extra-axial glioblastoma の一例
          豊橋市民病院 脳神経外科 権田 友美 先生
当番幹事 蒲郡市民病院 脳神経外科 杉野文彦
        愛知県蒲郡市平田町向田1-1
抄録

脳転移患者の長期経過は2-3年程度で語られることが多いが,最近は5年以上生存している症例も増加しているように感じている.定位放射線治療後5年以上の長期に及ぶ局所病変の変化についての報告はほとんどない.今回われわれは転移性脳腫瘍に対する初回放射線治療としてサイバーナイフによる定位放射線治療(CKR)を行った5年以上経過した病変について検討した.
経過が判明している中では,6人・14病変が該当した(CKR後摘出術実施症例は除外).全病変で治療効果が認められ,11病変はCRとなった.その後,放射線治療の影響と考えられる造影効果・周辺浮腫増強が8病変で認められた.1病変は紹介先にてSRSが追加されたが,その他の患者では追加CKRは実施していない.自験例からは長期経過における所見は再発を示す可能性は低いと考えらえた.あわてて定位放射線治療を追加しないこと,放射線読影医の所見を過信しないことが重要である.

慢性硬膜下血腫は比較的予後良好であり、手術も容易である。そのため、手術法も医師個人により、麻酔方法、洗浄方法、穿頭方法など様々であり、至適手術法はあまり、検討されてない。
当院では侵襲が少なく、簡便な慢性硬膜下血腫に対する手術を工夫したので、紹介する。
NLA変法麻酔下に局所麻酔し、Kirschner鋼線3mmで穿頭する。
穿頭部に6Frスタイレット付きネラトンチューブを挿入する。
血腫内容を廃液し、その後洗浄する。
そのままチューブを固定、ドレナージとする。
翌日、場合に寄り、再洗浄する。
従来、骨折外固定に使用するKirschner鋼線による穿頭術を施行してきたが、血腫腔にAir、ないし洗浄液が残存することを防ぐために、血腫腔洗浄後、洗浄液をCO2に置換すると、頭蓋内圧が低くなりすぎ、萎縮が強い患者では出血を来すことがあった。逆に洗浄をせず、陰圧になる前に血腫吸引をやめると、完治するまでに何度もベッドサイドで穿刺廃液を繰り返す必要があった。
今回の方法ではドレナージを挿入するため、術中血腫腔へのairの流入は全くなく、また洗浄も可能である。侵襲も軽く、患者の状態が悪くとも、ベッドサイドでも施行可能である。

もやもや病関連の出血は、高血圧性のものと同様に基底核や視床に出血することも多いが、特に側脳室上衣下や脳室内に起こることが特徴である。視床穿通枝群や脈絡叢動脈と髄質動脈に吻合が生じ、この脆弱な異常血管の破綻により出血する可能性が示唆されている。
脳室内出血を発症すると、意識障害を合併する症例が多いが、緊急で血腫除去術を行うと、速やかに症状が改善する症例も多く経験する。また、脳内血腫を伴っていても、出血源が脳室上衣下の浅い部分に存在すると、血腫除去により運動麻痺等の神経症状も改善する例も経験した。
今回、脳室内出血のみ除去した2症例と、脳内血腫も合わせて除去した2症例を提示し、もやもや病関連脳室内出血に対する内視鏡下血腫除去術の有効性について発表する。

※なお、領域講習の開催についてはこちらをご覧ください。