日本脳神経外科学会は1948年に発足した伝統ある学会で、これまで専門医制度の整備をはじめ日本の脳神経外科学の発展に中心的な役割を果たし、現在では会員数1万人を超える大きな学会に成長しています。2003年に社団法人化し、2012年には一般社団法人日本脳神経外科学会となりました。一般社団法人日本脳神経外科学会はその目的を、「脳神経外科学に関する学理及びその応用についての研究発表、知識の交換、会員相互及び内外の関連学会との連携協力等を行うことにより、脳神経外科学の進歩普及を図り、もってわが国の学術の発展に寄与すると共に脳神経外科診療を通じ、国民の福祉に貢献する」と、定款に定めています。
現在の専門医制度のなかで、脳神経外科は基本領域診療科に位置付けられ、我が国の医療・医学を支える根幹の診療科となっています。全国全ての大学に脳神経外科学講座が設置され、地域の基幹病院においても第一線で地域医療に貢献し、脳神経外科は日本の医療に欠くことのできない診療科となっています。日本脳神経外科学会には、脳腫瘍、脳血管障害、神経外傷、脊椎・脊髄、機能的疾患、小児、脳神経外科におけるその他の分野、学際的領域の8つのサブスペシャルティ分野があり、それぞれのサブスペシャルティ分野には多数の分科会が属しています。日本脳神経外科学会はこれら分科会とともに、我が国の脳神経外科医療の一層の発展を目指しています。
脳神経外科医を一言で表すと「外科医の目と技を持った神経系総合医」です。脳神経外科が対象とする疾患は、国民病といえる脳卒中(脳血管障害)をはじめとして、脳神経外傷などの救急疾患、脳腫瘍、てんかん・パーキンソン病・三叉神経痛・顔面けいれんなどの機能的疾患、小児疾患、脊髄・脊椎・末梢神経疾患など多彩です。脳神経外科医は、これらの疾患に関して総合的かつ専門的知識と診療技術を持ち、これらの疾患の予防や診断、救急治療、手術および非手術的治療、あるいはリハビリテーションなどを担当しています。私たち脳神経外科医は、時代の変化に応じ「時代と共に歩み、脳・脊髄・神経をまもる」ことをモットーに、国民の命と健康をまもるために高い理念と熱い情熱とを抱いて、日夜脳神経疾患の診療に取り組んでいます。本学会は、これら脳神経外科医を診療や研究、教育など様々な面で支え、我が国の医学・医療の発展に貢献する団体です。本学会に対して社会の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げます。
2023年11月
一般社団法人日本脳神経外科学会
理事長 齊藤 延人