(社)日本脳神経外科学会は平成20年7月7日(月)、厚生労働省において「脳卒中における新知見に関する学会発表」と題して、くも膜下出血の診断の困難性について記者発表を行ないました。
本件はその後、一部のメディアでも取り上げていただいたとおりですが、重要な点を再確認させていただきます。それは、軽度の頭痛のなかには「くも膜下出血を疑って検査・診断する」ことが困難な場合が少なからずあるという、今日の医療の限界が改めて確認された点です。これは、くも膜下出血が「見逃された」、「見落とされた」、というのとは異なった意味を持ちます。
また、今回は「専門医が最終的に診断することができたくも膜下出血例」だけを対象として調査したものですが、実地診療のなかでは脳神経外科医であってもくも膜下出血を疑うことが困難な場合や、CTを行なったとしても確認できない軽度のくも膜下出血もあり、専門医であればすべて診断できるものでもありません。進歩の著しい現代医療にも限界があるということもあわせてご理解いただきたいと思います。
最後に、このような診断の限界については欧米の一流施設からも報告されており、本邦に限ったものではないことを申し添えさせていただきます。